出会い系サイトで出会い、毎日メッセージのやりとりを続けてきたTさん。
どちらかというと「俺は」「俺って」と俺アピール強めな皆様の中にあって、彼は異質な輝きを放っていました。
聞き上手なんです。それは、実際に会う前からわかりました。
Tさんのメッセージより抜粋✨:
― 大変だったね。でも大丈夫。サエコちゃんの頑張りを見てくれてる人がいるよ
サエコって誰だよ、って? あ~はい。私です。私の出会い活動用の偽名です。偽名ってのは聞こえが悪いですね。マッチングネーム✨とでも呼んでくださいませ。
― すごいんだね。そんなことも出来ちゃうんだね
― へぇ…そういうことがあるんだね。サエコちゃんの話は面白いね! 勉強になるなあ
私をほめて、持ち上げてくれる。感心してくれる。いい気分にさせてくれる。
この人、きっとヨシヨシしてくれる人だろうな。そんな雰囲気があるのです。

はーい! 皆さん気になりますよね?
彼のプロフィールを見てみましょう。
年齢は私の実年齢の、2歳上。
注)私は年齢サバ読み女だったため、Tさんはもっと年下だと思っています
写真は、私好みのちょっとくたびれた感じのイケメン。白いTシャツがよくお似合いで。
趣味は読書。最近読むのはビジネス書ばかりだそうです。
それとテニス、ゴルフ。
コンサルティング会社にお勤め。
そして「既婚」「子供:あり」の表記。
バカヤロ~なんで結婚してんだよ! このっ、ナイスパパめ!!
(PTAとかやってそう…ぐすん💦)
そんな彼と、最初のメッセージをやりとりしてから2週間たった今日。
ついに、初めてのデートです。
都心からは少し離れたターミナル駅。
みどりの窓口の前に11時30分待ち合わせ。Tさんは約束の時間よりも早くついていました。
季節は秋でした。
冷たくなってきた風にトレンチコートがこれまた似合うこと。…渋いわぁ…。
「お待たせしました! サエコです」
「サエコちゃん、初めまして。会えてよかった。俺のことすぐわかった?」
「はい! 写真通りだったから、すぐわかりましたよ」
そこまで答えてハッとした。私は風呂の中で撮ったの?ってくらいにボヤかして、しかも目元をお花🌸のスタンプで隠しまくった写真をサイトに載せていたのだった。
やば。ガッカリさせてないかしら…。
Tさんはそんな私の思いを察したのか
「実物のほうが可愛いな」
そう言って、白い歯を見せて笑うではありませんか。
お客さん!!! こんなの反則だと思いません!?
こういう既婚者が一人、恋人探しの市場に紛れ込むことで、妙齢の女子10人くらいがまっとうな道から足を踏み外していると思いませんか?!?
(つづく)